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「たとへば君」河野裕子・永田和宏(文藝春秋) [本(大切な人をなくしたあなたへ)]

「歌に私はなくだらう」を読んでさらに永田・河野ご夫妻に興味を持ち、読んでみました。
副題は「四十年の恋歌」

たとへば君―四十年の恋歌

たとへば君―四十年の恋歌







帯に河野さんのお写真が使われていますが、とってもお綺麗な方です。しっとりとした美しさ。

副題のとおり、大学生の時に短歌を通して出会ってから、河野さんの死までの40年間にお二人が詠んだ歌と、歌と同時期に書かれた河野さんのエッセイが掲載されています。そして最初と最後に永田さんの文章。

まさに相聞歌。

「作品」というかたちになっていますが、お互いへの気持ちがストレートリアルタイムに伝わってくる、そういう関係ってある意味しんどいかもなと思いました。そういう歌を介した夫婦関係についての記述は「歌に私は泣くだらう」にも綴られていましたが・・・。
でも口には出さない本心が、歌というかたちで相手に伝わる(相手だけではなく、著名な歌人であるおふたりの歌は歌壇にも広く伝わるわけですが・・・)、残酷でもあり幸せでもありというところでしょうか。

河野さんは死の前日まで歌を作り続けたそうです。
枕元の紙という紙に書き付けられた、薄い筆跡の歌。そして口からこぼれてくる言葉もふと気がつくとそれは歌で、あわてて家族が書き留める、そうして数々の、残して行く愛しい人、愛しい世界、そしてもう自分が歌を詠めなくなる無念、そうした思いが歌のかたちで残されて行くのです。

その姿は、やはり歌という芸術に人生を捧げた人の修羅であり、救いでもあったのでしょうか。

最後に最近作った歌として紹介されている永田さんの歌。

「わたくしは死んではいけないわたくしが死ぬときあなたがほんたうに死ぬ」
P238

亡くなった人は残された人の中で生き続ける。
愛する人を失って残された人はやはり同じことを思うのだと、涙が出ました。

辛くてたまらない日、この歌が支えになってくれるような気がします。





「対象喪失」小此木啓吾(中公新書) [本(大切な人をなくしたあなたへ)]

Amazonでこのての本を探すとわりと最初出てくる本です。1979年初刷。今でも増刷され読み続けられている定番のよう。の方に

対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))

対象喪失―悲しむということ (中公新書 (557))






著者が精神分析学で有名な精神科医師でフロイト研究の第一人者、というこでフロイトの「悲哀の仕事」をベースに死別や失恋、失業受験の失敗などありとあらゆる「喪失」体験をどう乗り越えて行くかということについて語られています。
フロイトの夢診断の話を中心に取り上げられていること、もう30年以上前の出版のためたくさん登場する患者さんたちの例がなんとも古い・・・まずそこには違和感を感じました。なんかしっくりこないのよね。

でも失った対象への「喪の仕事」=きちんと悲しみと向き合いそれを乗り越える過程を経ること、の必要性については納得感あり。正直、息子を失ったことについては悲しみが別格過ぎてこの説をきちんと当てはめて考えることは出来なかったけど、過去の恋人との別れや以前の会社を辞めたことに関する心の痛みをこの本で書かれていることに当てはめて行くとなるほど納得。わたしは過去の出来事をかなーり引きずるタイプなので・・・。これはほんとに大きな気づきでした。

ちょっと長くなりますが、フロイトが定義した「悲哀の仕事」について書かれた部分を引用します。・・・と思ったのですが、あまりに長くて途中で断念。わたしなりに要約をば。

愛するものをなくした悲しみが続き、苦しくてたまらない → 「悲哀の仕事」とは対象とのかかわりを一つひとつ再現し、解決していく作業 → この作業をとおして、死を受け入れるということは失った対象(もしくは失う自分)を心から断念できるようになるということ

そしてここからが重要だと思うのですが・・・

しかし、それはあくまで「断念」なので失った対象を取り戻すこともできなければ悲哀の苦痛を感じなくなるということではない → 悲しみや苦痛は永久に残る → それをどうすることもできないのが人間の限界であり、現実である → 大切なのは、その悲しみを自然にいつも感じ、悲しいことを悲しいと感じることができる能力を身につけることである。(「対象喪失」P.155〜156)

たぶんわたしは「悲哀の仕事」をこれまでの人生においてうまくやってこれなかったんだなー。そしてフロイトによると多くの人はやはりうまくできず、悲哀の仕事を避けてとおるため時間が経ってから症状が噴出してしまう、と。これはフロイト自身の体験と精神分析の実績により導かれた考えだそうです。

精神分析という技法についてはまぁ諸説いろいろありますので、専門ではないわたしはこれ以上の深入りはやめておきますが、確かにこれは真理だと思います。

まだまだ「悲哀の仕事」は道半ば。もしかしたら一生かけてやっていくのかも。わたしはわたしのペースでいきたいと思います。



「医師としてできることできなかったこと」細谷亮太(講談社+α文庫) [本(大切な人をなくしたあなたへ)]

もう何年も前に、たまたまNHKをつけたらNHKスペシャルかなにかの再放送で小児がんの現場で日々奮闘されているお医者様が登場されてました。それがこの本の著者の細谷医師。

聖路加病院の小児科部長で現在は副院長もされているようです。

医師としてできること できなかったこと 川の見える病院から (講談社プラスアルファ文庫)

医師としてできること できなかったこと 川の見える病院から (講談社プラスアルファ文庫)






小児がんを専門とする医師として過ごした数十年を振り返り、担当したこどもたちのことを優しく暖かい語り口で語られています。もちろん完治して元気に過ごして無事大人になったおこさんたちもたくさんいらっしゃるのでしょうが、やっぱり亡くなってしまうこどもたちをたくさん看取られてきた。細谷医師は「泣くことができなくなったら医師を辞めようと思っている」とインタビューでも語られています。


泣いて、そして次の患者さんには全力でむきあっていく。細谷医師は受け持ったおこさんのお通夜お葬式には必ず参列されるそうです。お医者様のプロフェッショナリズムの持ち方としてはかなり特異なスタンスだとは思うのですが、残された家族にとってはそれはとても暖かく感謝の気持ちで満たされると思います。これも聖路加病院というキリスト教の理念を持つ病院にいらっしゃる医師だからこその姿勢かもしれませんが・・・。

なかなか医師や看護師さんのプロとしての顔ではない、ほんとの気持ちって伝わってこなくて、いろんなこと考えたりして落ち込んだりもしたんです、わたしも。でも息子とお別れした後、何度か病院に行くうちに、担当してくださっていた先生にばったり会ったとき「さっき、○○くんのこと××先生と話してたんですよ」と言ってもらえたり、担当の看護師さんから「○○くんとお別れしてからしばらくは休みの日には何にも手につかなくて毎回海を眺めていた」なんて話を聞かせてもらってようやく「ああ、息子もこんなに大事に思ってもらっていたんだな」と実感できて嬉しくなりました。こういう「気持ちを伝えてもらえる機会」があるとやっぱり遺族としてはちょっと救われます。息子が入院していた病院はグリーフケアも充実しているとは思いますが、それでもこんなふうに感じてしまうので、まだまだ病院の最後の対応に傷ついてる親御さんたち、たくさんいらっしゃるんじゃないかなと思います。

話が横道に逸れました。

小児がん(その多くは白血病)は30年ほど前までは日本ではほぼ助かることのない病だったそうです。それが医学の進歩でだいぶ助かるようになってきた。そこに至る道のりはとても険しいものだったと思います。
でも「だいぶ助かる」ということは助からない子もいるわけで・・・。

無理な願いだとはわかっていますが、ひとりでも多くのこどもたちの命が助かるようになりますようにと祈らずにはいられません。



細谷医師に12年間密着したドキュメンタリー映画があるようです。



「天国郵便局より おとうさん、おかあさんへ」鮫島浩二(二見書房) [本(大切な人をなくしたあなたへ)]

さっそく1冊目のご紹介です。

天国郵便局より おとうさん、おかあさんへ

天国郵便局より おとうさん、おかあさんへ


「わたしがあなたを選びました」という絵本で有名な鮫島医師の本です。
もともとは鮫島医師がご自身のクリニックで流産、死産になってしまったおかあさんが退院されるときに渡している詩だそうです。わたしは「うまれる」という本(同名の映画もあります)に引用されているのを読んで、ものすごく読んで救われたので、5月に絵本になったということですぐ購入しました。

息子がこんなふうに、空の上からわたしたちのこと思っていてくれればいいな、と素直に思えます。

わたしは永遠にあなたたちの子どもです。
そのことをわたしは誇りに思っています。

だいじなだいじな赤ちゃんとお別れしなくてはいけなかったすべての人へ。理屈ではなく、悲しみを癒してくれる1冊です。

わたしがあなたを選びました

わたしがあなたを選びました

  • 作者: 鮫島 浩二
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 2003/07/01
  • メディア: 単行本

ちなみに妊婦界(?)では有名なこちらはわたし読んだことなかったのですが、息子が入院していたNICUに置いてあったのでそこで読みました。
スピリッチュアル系トンデモ本かと思いこんでて、敬遠していてごめんなさい・・・。


新しいカテゴリー作りました [本(大切な人をなくしたあなたへ)]

今日で息子がとおくへ旅立ってちょうど半年が経ちます。
もうそんなに経つのか・・・と思うと寂しく、悲しく、やりきれない思いでいっぱいになります。今日は午前中、スーパーへ買物にでかけたら赤ちゃんを連れたおかあさんたちの姿がいつも以上に目に入りました。
たぶん、自分がナーバスになっているからでしょうね。

そんな今日、新しいカテゴリーを作ってみることにしました。

息子がわたしたちの手元から旅立ってからどうやってこの喪失感、悲しみと向き合えばいいのかわからず、そして他の赤ちゃんを亡くしたご両親はどうやってこの悲しみ、つらさを乗り切ったのだろうかと、その答えを探してたくさんの本を読みました。

でもなかなか情報がなくて・・・。1冊目の本を頼りにAmazonでレコメンドされてくる本を片っ端に読んでいった、という感じなのです。魂うんぬん、というスピリッチュアルな方面にはあまり興味がないので、その方面はスキップしてますが、意外とその類いの本の方が多いんですよね世の中には。なので、そうじゃない本を中心に、もし何かのキーワードでこのブログにたどりつかれた、つらい心を抱えたおとうさん、おかあさんの助けになれば、と思ってレビューを少しずつですがこのカテゴリーで書いていこうと思います。

ちなみに、読んだ順番ではなくレビューを書きやすい順番でUPしていくと思います。



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