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「記憶の渚にて」白石一文(角川書店) [本]

ふー、今日も1日寒いですね。でも一歩も外に出ていないので、この記事を書き終えたら買い物にいってこようと思います。

記憶の渚にて

記憶の渚にて

白石一文の新刊・・・といっても去年の6月ですね。図書館の順番がようやくまわってきました。
相変わらずの白石節炸裂・・・といってもいつもほどではなかったかしら。
ミステリー的な展開で、結構楽しめました。

国際的に著名な作家だった兄が謎の死を遂げた。古賀純一は兄の遺品の中から謎の遺書と『ターナーの心』と題された随筆を発見する。我が家の歴史を綴ったその文章は、記憶とは大きく食い違うデタラメばかり。偽装された文章は兄の死となにか繋がりがあるのか?兄の死の真相に迫る古賀を待つ、謎、謎、謎―。日本からイギリスへ。海を跨ぎ、一五〇年の時を越える一族の歴史。そのすべてが一つの像を結ぶとき、予想だにしない圧巻のラストが立ち現れる!この不確かな世界を生き抜く力となる、最新傑作長篇。(「Bookデータベース」より)

3部構成なのですが、1部で主人公なんだと思っていた古賀純一があっけなく殺されてしまい、「え???」な展開に。
とある新興宗教の教団と古賀兄弟の「記憶」がリンクしていき、古賀兄(有名小説家、自殺)の義理の甥で長じて同じく小説家となった白崎東也が謎解きをしていく・・・という展開なのですが、ミステリーちっくではありますが、なにせ白石さんですから、やっぱりミステリーではないのですよ。
え?そんなオチ??みたいなラストシーンだし。

なんといってもタイトルである「記憶の渚」がキーなんでしょうね。結局、現実で起きた事柄は、1秒でも経過するとそれはその場にいた一人ひとりの「記憶」となり、少しずつ食い違っていきますよね。
そしてそれが、受け継がれていく。
実は、遺伝子を受け継ぐというよりも、記憶を受け継いでいくことがヒトという種にとっては重要なことなのではないかというようなことなのかなぁ。

キーパーソンである古賀兄(ペンネーム:手塚迅)の残したメッセージを、血の繋がった弟ではなく、元妻の甥という血縁のない白崎が紐解いていくという展開もそこにリンクしているのでしょうね。

Amazonのレビューは両極端で、星5つが5人、星1つが4人。票が割れてますね。まぁそうだろうなぁ。これがまた新聞小説だったというのも驚きですよ。こんなマニアックな作品がねぇ。。。

読んでいて特段楽しくもないのに、新刊が出たら必ず読んでしまう白石作品。
やっぱり不思議な魅力があるってことなんでしょうね。

↓ヒトの記憶についての本。これ、テーマがリンクしてそうなので読んでみたいです。

脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議

脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議

  • 作者: ジュリア・ショウ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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12月の読書メーター [本]

新年1本目のUPがずいぶん遅くなってしまいました。
今年もよろしくお願いします!

2016年の振り返りも、新年の抱負の発表も済んでいませんが、通常更新に。
12月もあまりレビュー書けていませんが「美しい距離」「空から降ってきた男」も印象的でした。
今月は、年末年始家でおとなしくしていたので、すでにかなり読んでます。

明日も寒そうだし、読書ざんまいかしら。。。

2016年12月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1596ページ
ナイス数:112ナイス

あしたの君へあしたの君へ感想
大地の成長物語。人の人生に関わっていかなくてはならない仕事ってほんとに悩むだろうなぁ・・・。ついつい応援したくなる。
読了日:12月5日 著者:柚月裕子
美しい距離美しい距離感想
看取りがテーマなのだけど、ドラマティックな出来事はなにもなく、夫が妻を思う気持ちが丁寧に描かれる。奇跡も起きず、ああ、やっぱりそうなのか、というラストなんだけど、人と人の距離は常に自分を律しながら保っていな買うてはならないものなのかなぁとしみじみ・・・。
読了日:12月6日 著者:山崎ナオコーラ
モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘いモンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い感想
背筋が凍るような話。モンスターとは言い得て妙。 同じ著者の「でっちあげ」とは違い、教師たちが一致団結して戦った結果、無実を証明できたのだけど、やはり救われないのは自殺した男の子。あと少しだったのに・・・。やりきれない読後感。
読了日:12月10日 著者:福田ますみ
罪の声罪の声感想
実際の事件をモチーフに、「犯罪に知らないうちに巻きこまれてしまっていた子ども」のその後を追った作品。事件の進行は実際の事件をみごとになぞってあり、確かにこういう犯人たちだったのかも?と思わされる。 前半は読むのにちょっと骨が折れたけど、後半はグイグイ引き込まれてしまいました。
読了日:12月17日 著者:塩田武士
笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳・戦国時代笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳・戦国時代感想
結構、最新の知見なども入れられていて、面白かった。ふざけすぎ?というところもなきにしもあらずだけど、そういう本ですから〜。
まさに「真田丸」の世界!
読了日:12月17日 著者:房野史典
空から降ってきた男:アフリカ「奴隷社会」の悲劇空から降ってきた男:アフリカ「奴隷社会」の悲劇感想
ジャンボジェットの車輪格納庫に忍び込み、密航しようとした男が、着陸寸前に車輪が出されたタイミングで外に放り出されて、死亡したという事件。ロンドン・ヒースロー空港近くの住宅街の路上に突然降ってきた男が、どういう経緯でそういう行動をとるに至ったのかを丁寧に追ったノンフィクション。
もとが新聞の特集記事だったためか、読みやすくわかりやすい。奴隷社会が西洋人→アフリカ人から、裕福なアフリカ人→貧しいアフリカ人という形に変化して今も存続しているという指摘は読んでいてつらいものですね・・・。
読了日:12月21日 著者:小倉孝保

読書メーター
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「罪の声」塩田武士(講談社) [本]

今日も夫は休日出勤。わたしは美容院に行ってスッキリ
暖かかったので、隣駅の美容院まで30分のきもちよいお散歩でした。

罪の声

罪の声

  • 作者: 塩田 武士
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/03
  • メディア: 単行本







400ページにおよぶ大作。
世紀の未解決事件、グリコ森永事件をモチーフに、30年ぶりの謎解きが描かれます。

逃げ続けることが、人生だった。 家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。 「これは、自分の声だ」 京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。 未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。 圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読! 本年度最高の長編小説。 昭和最大の未解決事件―「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは――。 気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。(「Bookデータベース」より)

ストーリーは2人の同い年の男の視点から交互に進んでいきます。

ひとりめは父の店を受けついだ曽根。入院中の母の部屋で見つけたカセットテープには自分の子どもの頃の声が録音されていて、それは「ギン萬事件」で恐喝に使われたテープの声そのもの。それをきっかけに亡き父の友人とともに「ギン萬事件」について調べ始めます。
もうひとりは大日新聞文化部記者の阿久津は未解決事件の特集班に組み入れられ、長いこと離れていた事件取材に駆り出されます。そこでテーマとして与えられたのが、「ギンガ萬堂」事件。ぼやきながらも、地道な取材を続けているうちに、掘り当てた情報から、真犯人に迫っていきます。

誘拐恐喝事件の骨子はほぼ同じものを使っているそうで、緊迫感があり、確かにそういうものだったのかも、と思わされるものがあります。
しかし、犯人たちの動機は「ちっちゃい」もの。
「ギン萬事件」には3人の子どもの声が使われていて、曽根以外の2人の現在にも迫っていきます。
なんの罪もない子どもを本人たちの知らないうちに事件に巻き込み、人生を狂わせた犯人たち。そしてそれに対して無自覚な犯人たち。

「ギン萬事件」の犯人たちはほとんどが故人となっていましたが、「グリコ森永事件」の犯人たちは今頃どうしてるのでしょうね。



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「モンスターマザー」福田ますみ(新潮社) [本]

2005年に起きた長野県の丸子実業高校で1人の生徒が自殺した。
その原因が部活で起きたいじめだったのに、それを放置したという理由で遺族が校長を殺人罪で刑事と民事両方で訴えた丸子実業高校いじめ事件。
ニュース番組などでもセンセーショナルに報道されていたそうなのですが、恥ずかしながら全く記憶にありませんでした。
(当時、わたしは朝8時に家を出て、帰ってくるのは24時という長時間労働の日々だったので、2000年代前半の時事ニュースはほぼ記憶にありません・・・)

その事件をきめやかに取材したノンフィクションです。

モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い

モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い

  • 作者: 福田 ますみ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/02/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)








教育現場の「恐るべき現実」に迫る瞠目のルポルタージュ。不登校の高一男子が自殺した。久々の登校を前に―。かねてから学校の責任を追及していた母親は、校長を「殺人罪」で告訴する。常識をはるかに超えた執拗な追及に崩壊寸前まで追い込まれた教師たちは、真実を求め、“モンスター”との対決を決意した。はたして加害者は誰だったのか。(「Bookデータベース」より)

いじめが起きると学校や教育委員会はそれを隠蔽する、そんな過去の事件からなんとなくテレビの視聴者はそう感じているはず。それを逆手にとって、ここに登場するモンスタマザー高山さおりはいじめによって息子は自殺したとマスコミに訴え、その報道を見た人権派として有名な高見澤弁護士が彼女にコンタクトをとり、ふたりは学校ではなく当時の校長に対して殺人罪の裁判を起こします。

いや、これで殺人って・・・あまりにも無理筋。高名な弁護士がこんないいがかりみたいな裁判の弁護を行うってどうなんだろうか。モンスタマザーの行動も唖然とするものではありますが、なにしろわたしが一番驚いたのがこの弁護士の一連の行動でしたね。しかも裁判の過程で弁護士はほぼ事実確認や調査を行わず原告である母親の証言のみで弁護を行っているのですよ。それまでいろいろな活動をされているのだろうに、こんなずさんなことしてすべてのキャリアが台無しだし、これまでの実績もなんか大丈夫なの・・・?と疑問を抱いてしまうというか。
結局高見澤弁護士は日弁連からも戒告処分を受け、校長からも名誉毀損で訴えられ敗訴しています。

高校側は自殺した生徒が母親からの精神的虐待を受けているという認識を持ち、児童相談所に働きかけて母子分離を図ろうとしていた矢先のこと。ネグレクトされているということで、近所では有名な子どもだったそうです。
それでもやっぱり親は親、ということでいやだと思いつつも母親の支配下から物理的に離れる事ができず、結局死を選んでしまった、というのが真相のようです。

モンスターペアレンツからの理不尽な要求に屈しない、という教育者としての学校の立ち位置には勇気付けられる結果でしたが、やっぱり亡くなった高校生の人生を思うとやりきれないですね。。。

著者の福田さんは「でっちあげ」というやはり同じく高校を舞台にいじめ事件を保護者がでっちあげて裁判を起こした事件のルポを書かれています。こういう人たちと遭遇してしまったときにとるべき行動って?と考えずにはいられません。

でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相 (新潮文庫)

でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相 (新潮文庫)

  • 作者: 福田 ますみ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/12/24
  • メディア: 文庫


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11月の読書メーター [本]

毎年のことではありますが、12月に入りもう今年も終わりが見えてきて「あ〜あ」という気分になっています。
11月は読書が進まず、4冊のみ。これもなんだか「あ〜あ」な感じです。


2016年11月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1096ページ
ナイス数:36ナイス

乳房に蚊乳房に蚊感想
ダメ男と鬼嫁。いやー。こういうふたり、苦手〜〜。
読了日:11月6日 著者:足立紳
キッド――僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったかキッド――僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか感想
今年の本だけど原著がアメリカで発刊されたのは1999年。ずいぶんと時間が経っていて、20世紀末のアメリカの上京ってこんなだったんだなと感心しながら読みました。2000年代前半、ビバリーヒルズで男性ふたりがベビーカーを押しながら歩いているのをみて衝撃を受けたのですが、すでにそのときからも10年以上が経っているわけで・・・。家族を持つ、ということをストレートのカップルの何十倍も真剣に考えることになる彼らの姿に共感を覚えました。続編が来年日本でも出るそうです。次はダンとテリーが結婚する顛末らしい。楽しみ。
読了日:11月18日 著者:ダン・サヴェージ
謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉感想
さすが高野さん、今回も徹底的に調べてます。納豆という日本独特っぽい食べ物が実はアジア各地の山岳部の少数民族も食べているとは! いろいろと目から鱗。九州出身なためか、それとも単なる嗜好の問題か、嫌いではないけど別に好きでもないくらいの納豆愛しか持ち合わせてない私もスーパーに走って、ちょっといい納豆買ってきたくなりました。
読了日:11月27日 著者:高野秀行
くよくよマネジメントくよくよマネジメント感想
だれでもくよくよするよね・・・徹底的にくよくよについて自分の心の動きに向き合ったエッセイ。私は日常的に接する人数が少ないので、あんまり友人・知人から違和感のある対応をされることがないのだけど、人付き合いが広く浅いタイプだとこういうこと、たくさんありそうだわー。
読了日:11月29日 著者:津村記久子

読書メーター
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「謎のアジア納豆 そして帰ってきた日本納豆」高野秀行(新潮社) [本]

みなさま、納豆はお好きですか?
わたしは・・・どうかな〜。別に嫌いではないけど、好きではないなと割と最近気がつきました。
夫は大好きですが、わたしがそんな態度なので、おそらく夫が食べたい頻度では食卓には上がっていないと思われます・・・。


謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

  • 作者: 高野 秀行
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/04/27
  • メディア: 単行本


そんな納豆の本。なんとアジア各地(特に山間部の少数民族が暮らす土地)にも納豆が存在し、俄然興味を持った高野さんが、大学の探検部時代の先輩であるテレビドキュメンタリーのディレクター、竹村先輩とともに調査を行うという内容。

読んでいて、驚くこと、「そうなのか!」と膝を打つようなことがてんこもりです。
納豆、奥深いなぁ〜。
ミャンマー、タイ、ネパール、中国、そして秋田県。フィールドワークも幅広いですねぇ。基本的にはミャンマーやタイでは山間部でしか食べられておらず(つまり、タンパク源がそれくらいしかない貧しい土地ということ)、日本のようにご飯にかけて食べるというよりも、保存食として調味料として生活に欠かせない存在であるのです。
そして秋田県ももちろん山間部。海沿いの地域ではないというね・・・。

日本でも江戸時代中期まではご飯にかけるのではなく、納豆汁として食べていた(江戸でも)というのはびっくり。青菜と豆腐とセットにして朝ごはん用に朝から売り歩く行商人がいたというのですから。
そして水戸納豆は明治時代に鉄道が水戸まで通って、お土産品として開発されたというのも目から鱗。水戸が納豆発祥の地か?!くらいの存在感なのに・・・。
今の納豆は小粒の大豆を使って、人工的に栽培された納豆菌で発酵させている工業品。うーん、なるほど。

ということで、わたしは大粒の大豆で作られた高級納豆を無性に食べたくなったことと、自分で納豆を作ってみたい!という思いにとりつかれています。
高級納豆は、これまでに何度か食べたことがあり、やっぱり豆の味がじんわりとして美味しかったんですよね。ご飯とはからまないけど。今でも忘れられないのは松本の扉温泉明神館で食べた「扉納豆」。でも2回目に伺った時はもう朝ごはんに納豆がつかなくなっていて、まさにわたしにとって幻の納豆となっているのでした。
*今、調べてみたら2015年に宿泊された方のブログに扉納豆が登場していました。2014年宿泊時はたまたまだったのかな〜


納豆と大豆を買いに行こうっと。


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「キッド」ダン・サヴェージ(みすず書房) [本]

今朝の地震、東京でもかなり揺れましたが、東北のみなさま、ご心配だったと思います。
これでおさまってくれること、祈るばかりです。
しかも明日から寒気が強くなるんですよね。東京でも雪になるとかならないとか・・・。
ドキドキ


キッド――僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか

キッド――僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか



翻訳物なので、読むのに時間がかかりました。
副題が「僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか」
原著は1999年にアメリカで発売されてます。コラムニストのダンと書店員のテリーのカップルが養子縁組で息子を授かるまでのエッセイ。
最初、20世紀おわりの話だと思っていなかったので、アメリカって同性婚も認められているし、ゲイやレズビアンが子供を持つってそれほど珍しいことなのではないか?と思いつつ読んでいたのですが、途中で、結構古い話なのだと気がつきました。
それでもまだ20年は経っていないわけで・・・。社会のあり方というか、人々の認識とか偏見とかって結構変わるんだなと思ったり(そういう流れに対する反動が、トランプ大統領誕生なんだろうけど)。
日本ではまだまだですけどね。

ちなみに本書でダンはテリーと結婚するつもりはない(もちろんパパ&パパとして息子を一緒に育てていく覚悟だけど)と書いていますが、その後、法的に結婚したらしく、来年その顛末について書かれたエッセイも翻訳予定だそうです。もう彼らの息子(DJ)は17歳。どんな少年になってるんでしょうか。

2004年だったか、2005年だったか、ロサンゼルスのビバリーヒルズでゲイのカップルがベビーカー押しながら散歩してるのを見て、「おお、アメリカだー」と思った記憶があります。西海岸だしね。けれどあの時に赤ん坊を連れ知恵他彼らもいろいろ大変だったんだろうなと思った次第。

下ネタ満載なので、電車で読むのは少々はばかられましたが(笑)、続編も読んでみたいなと思ってます。



ダンとテリーはゲイであることを理由にいじめられ、自殺してしまった15歳の少年のニュースを機に「It gets better」という活動を立ち上げたそうです。
youtubeでのふたりからのメッセージはLGBTの少年少女でなくとも、いじめられつらい日々を送っている全ての少年少女にひびくのではないでしょうか。


途中、息子のDJとの写真もでてきます。すごーく可愛い。


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「乳房に蚊」足立紳(幻冬舎) [本]

もう3週間くらい、よくなったりぶりかえしたりを繰り返していた風邪ですが、月曜日にいよいよ調子が悪く病院にいって薬もらってきたらあっさりと治りました。とほほ。

乳房に蚊

乳房に蚊

  • 作者: 足立 紳
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/02/25
  • メディア: 単行本







夏頃にどこかの書評で興味を持って、図書館で予約順番待ちをしていたのですが・・・。
あっさりと読了。まぁおもしろいけど、どうもこの夫婦のことに興味が持てないまま物語は終了してしまいました。

プライドと自意識だけ人一倍高い無職同然の夫にようやく仕事のチャンスが舞い込み、働き者でしっかり者の恐妻、5歳の娘とともに4泊5日の四国旅へと向かうが…。結婚10年。「女房とのセックス」のハードルが、ここまで高くなろうとは。(「BOOKデータベース」より)

ダメ夫と、ダメ夫をけちょんけちょんに貶し続ける妻にどうしても「離婚すればいいのに」と思ってしまうわたし・・・。奥さん、一緒にいるなら、口汚く罵るのはやめようよ、そんなに罵るのなら別れようよ、というね。
もちろん、いちばんダメなのはこの主人公の無職男なんですけどね。
キャラクター的に苦手なんですよね、口汚ないひとが・・・。

著者は脚本家で映画監督。しかも40歳近くになってようやく世に出た・・・というなんだか主人公の姿が作者とだぶるという構造になっています。

ということで、ダメ男の話が好きな方(そんな人いるのか?)にはオススメです。

百円の恋 特別限定版 [Blu-ray]

百円の恋 特別限定版 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: Blu-ray


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「女たちの和平交渉」小島慶子(光文社) [本]

今日は秋晴れで気持ちの良いお天気でしたね。週末もお天気大丈夫そうですね。
天気がいいとやっぱりそれだけで気分がいいですよね!


女たちの和平交渉 (VERY BOOKS)

女たちの和平交渉 (VERY BOOKS)



かの女性誌「VERY」の名物連載をまとめた第二弾。
元女子アナ、歯に衣着せない発言で知られる小島さんのエッセイです。
セキララというには重くてダークな子育てにまつわるあれやこれやが、軽やかな(ときにはべらんめえな)口調で、続きます。
きっと、同じような悩みを持っていたら、ホッとするね、間違いなく。
まぁとはいえ、わたしには縁のないトピックばかりなわけですが。
でもあれやこれやの葛藤は、わたしにだって共感できるよ。みんな無理しないでがんばろうね、って気分になります。

第一弾はこちら。


女たちの武装解除 (VERY BOOKS)

女たちの武装解除 (VERY BOOKS)

  • 作者: 小島 慶子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/08/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

それにしても小島さん、ずいぶん本を出されてますね。東京オーストラリア往復の日々だから、オーストラリアにいる間はきっと執筆されてるんでしょうね。いいな〜、青い海・・・。

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「漂流」角幡唯介(新潮社) [本]

またもや風邪ひいてるカオリです。咳とか鼻水はでずに、喉の痛みと微熱のみ。
週末、寒かったのに薄着でうろうろしちゃったからかしらねぇ。


漂流

漂流








自らも冒険家でノンフィクション作家の角幡さんが、編集者から「漂流」を題材に本を書かないかと持ちかけられ、素材として選んだのが、1994年3月にフィリピンのミンダナオ島沖で救助された1隻の救命筏。そこに乗っていたのは1人の日本人船長と8人のフィリピン人の漁師たち。彼らはなんと37日間もゴム製の不安定な救命筏で大海原を漂流し、そして弱り切った姿ながらも乗組員全員である9人が揃って生還したという。

この漂流に興味を持った著者は、日本人船長木村実船長に話を聞こうと、沖縄の自宅に電話をした。すると電話に出たのは奥さんで、なんと、木村船長は漂流から8年ほど経ったある日、またマグロ漁船に乗ってグアムに向かい操業中に消息を絶っていた。

なんと。
著者は本人から37日間にわたる漂流について話を聞こうと思っていたのに、その本人が再び姿を消していたという事実に驚愕し、そこから根気強く木村船長の足跡を追っていく。その過程が丹念に描かれていきます。
伊良部島という宮古島に近い離島。木村船長はその伊良部島の佐良浜という集落出身で、その集落は戦前から南洋マグロ漁やカツオ漁で名を馳せた土地で、島の男たちは海に親しんで、というよりも海の他に生きる場を持つことなく生まれ、死んでいく、そんな風土。

著者が地元の人たちから聞いた漁師たちの話はどれもはちゃめちゃ。こつこつと稲を育てて暮らす農民とはそりゃメンタリティが違うよなぁと思わずにはいられません。著者が取材の過程でグアムを拠点に操業するマグロ漁船に乗せてもらって感じたこと。

「私が漁船に乗ってただひとつわかったこと、それはマグロ延縄漁船の船長を長年やっていると仕事ではなく、生き方や人格になってしまうということだった。仕事ならば気がむいたときに辞めて別の仕事をさがすことは簡単だ。しかし生き方になってしまうと、それはもはやかえることはできない。」(P306)

確かに、だからこそ、彼らは一度陸に上がっても結局は海に戻ってきてしまうわけです。海で遭難すると捜索はたった3日で打ち切られてしまうそうです。それ以上は探しようがないから、と。

飛行機で海の上を飛んでいるときに、どこまでいっても島かげ一つ見えず、青い海が広がっているのを見て、「こんなところに船で浮かんでいるってどんな気持ちなのかな」といつも思ってましたが、なんとなく少しだけ、ほんの一面だけですが、そのかんじがわかったような気がしました。
そして、遠い人類の祖先が粗末な丸太船で大海原に漕ぎだして、ミクロネシアの島々に移住したさまが目に浮かぶ、そんな気持ち。まったくこの作品とは関係ない話なんですけどね。

著者がフィリピンで、木村船長が漂流時に乗っていた救命筏の断片を救助した漁師から譲り受け、沖縄の奥さんのところへ届けにいくのですが、奥さんはためらいつつ、やんわりと受け取りを拒否します。
そこで著者は形見を持ち帰ってきて喜ばれるに違いないと思っていた自分の考えを大反省。
奥さんにとって、まだどこかで木村船長は漂流を続けているんですね、きっと。いつかひょっこり発見され、帰ってくるかもしれない、その確率は限りなくゼロに近いけれど、ゼロではない。
切ないシーンです。

漂流の末、最後は助かった!冒険を成し遂げた!という高揚した気分を共有するような作品ではありませんが(なにせ漂流した本人がまたどこかへ消えてしまっているのだから)、なぜ彼らは海に漕ぎ出すのか、という根源的な問いが心に残る1冊です。



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